生物機能開発化学研究室 東京大学  大学院農学生命科学研究科  応用生命化学専攻

Laboratory of Biological Function Department of Applied Biological Chemistry, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo

研究テーマ


本研究室は食品を研究対象としており、特に食品の価値を決定づける「味」について、受容・伝達・認識に関与する分子機構の解明を目指しています。このような解析により、口腔内で受け取られた味覚シグナルが脳に達し、“おいしい”と知覚する過程の全体像が明らかになることが期待されます。また、基礎研究を基盤とした味覚研究は、産業界からも注目されており、新たな応用領域の開拓にも役立つと考えられます。

研究テーマポンチ絵

主な研究テーマ

1. 味覚受容体を介した味物質受容機構の解明

たべものを口に入れると味を感じますが、このとき、味物質は口腔内に存在する味蕾細胞において認識されます。この仕組みを、味覚受容体を発現した培養細胞で再現してあげることで、味の強度を測定することができます。さらに、このような評価系をうまく利用すると、味物質がどのようにして味覚受容体に認識されるかといった構造的な側面から、味の受容機構を理解することができるのです。将来的には、食品開発の場面においても、味覚受容体を使用した味センサーの利用が可能になるのではと期待しています。

[主要な研究成果]



2. 栄養状態や食経験に起因する嗜好性・味覚感受性の変化

味の嗜好性は、一生を通じて全く変化しないわけではなく、その人の栄養状態や食経験、あるいは年齢によって変化しうることが知られています。しかし、嗜好性の変化が何によってもたらされるのかについて、一致した見解がないのが現状です。我々は、必須ミネラル欠乏や食経験によって、脳における遺伝子発現プロファイルやシナプス関連タンパク質の蓄積量が変化することを見出しました。これらの結果は、食事が脳にどのような影響を及ぼすかを解析するための、一つの端緒になると考えられます。

[主要な研究成果]



3.味覚修飾タンパク質の構造活性相関解析

我々の味覚研究においては、ネオクリンやミラクリンといった熱帯果実タンパク質も用いています。これらのタンパク質には、酸っぱい味を甘い味に変えてしまう、不思議な活性(味覚修飾活性)が備わっていることが、古くから知られています。ヒト甘味受容体を発現させた培養細胞を用いた実験から、これら味覚修飾タンパク質がどのようにして酸味を甘味へと変換させるかについても、分かりつつあります。

[主要な研究成果]



東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻
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